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「本当に、うまいなコレは。ははもう無くなったよ」
圭吾は満足そうに、フォークを置く。
「うまかったですね。“桃ちゃん" 食べたの久しぶりだ。あれ?」
その時、龍巳が拓司の変化に気づく。
拓司の呼吸が荒い。さらに、頬が紅潮してきていた。
「たく?どうした!?」
拓司は、龍巳の顔を見ると、つぶやいた。
「…龍にぃ…なんで、言うの?桃ちゃん…って」
「え!?たく…あっ!!」
龍巳は、その時になって気づいた。拓司にとって“桃ちゃん" は…
圭吾も、その言葉の意味が解った。そこで…
「龍巳さん、拓司をベッドに寝かせましょう」
「!!」
龍巳は驚きながらも、うなずき拓司をベッドに連れていく。
「…にぃ…龍にぃ…」
拓司は、目を潤ませ、龍巳を見つめる。
久しぶりに会った弟。彼に与えた影響は消えないものだと龍巳は感じた。
一方の拓司は…
今も、兄の声に反応してしまう自分の身体。
彼は解ったのだ。自分は、本当は兄が好きなのだと。心から…
古城や、古城の兄、友人の黒羽たちと関係を持っている事を知られるのは
社会的な地位に傷がつく、最大の痛手になるだろう。
だが、彼にとって、その事は喜びなのだ。それが解った。
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