拓司の過去

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  ある日、社長の拓司は夢を見ていた。 まだ小さかった時の自分がいる。 小学校の体操着姿だ。      「拓司~、にぃと遊ぼう?」   「たくちゃん!」   「たくは、オレとが良いよな?」     まだ10歳くらいの拓司のまわりには、男の人が3人いた。   年齢は、拓司より、かなり上で、高校生か大学生くらいだろうか。   皆、Tシャツにジーパン姿。     拓司は、一人の男性に、体操着と下着を脱がされ、ふかふかのベッドに乗せられた。     「にぃちゃん」   拓司はニコッと笑う。 そう、男性たちは、拓司の義理の兄たちだった。     拓司は、まだ幼かった頃に養子として、この家に来た。 親は病気がちで、彼を育てられなかったからだ。      そこは、特別なお金持ちという訳では無かったが 子どもたちが大きくなり、ある程度は余裕があったので拓司を迎え入れた。     一番上の兄、真巳(まさみ)は、拓司   二番目の兄、克巳(かつみ)は、たくちゃん   三番目の兄、龍巳(たつみ)は、たく   そう呼んでいた。       拓司は、真巳をにぃちゃん    克巳は、克にぃ   龍巳を、龍にぃと呼んだ。
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