屯所で一番怖いもの

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  それはよく晴れたある日の事だった。 「蒼妃~、ちょっといい?」 台所で昼食の後片付けをしている蒼妃のもとに藤堂が顔を覗かせた。 「藤堂さん、巡察お疲れ様でした」 たった今、午前の巡察を終えてきた藤堂は浅葱羽織を着たままだった。 「うん。それより一がさぁ~」 眉根を下げて困ったように言いよどむ藤堂に蒼妃は悪い想像をする。 「怪我でもしたんですか?」 「いや、風邪引いた」 「…………はい?」 思わず聞き返す蒼妃だった。  
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