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道ゆく男は皆、老いも若きも関係なく、すれ違った二人の美女をその目で追う。
ある者は妻に、ある者は恋人に、それぞれ睨まれながらも二人から視線を反らせないでいた。
「……どうですか、小梅さん。女性でも大人気ですよ?」
「黙れ」
「でも凄いですよね、小梅さん。女の私も羨ましくなるような綺麗な顔に髪……いいなぁ」
「……黙れ」
「あっ、あれ!! この前左之さんに恋人を寝取られたって殴り込んできた人ですよ。
獲物を狙うような目して……次は小梅さんに狙いを定めたんですかね?」
「…………」
……頼むから、ほんとに、黙ってくれ。
土方は――わざとなのだろう――ニヤニヤと土方を覗き込みながら話す蒼妃に、本日何度目かになる大きなため息をついた。
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