冬の向日葵、夏の椿

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  今、二人は大路の真ん中を歩いている。 歩く先々で無謀にも二人に声をかけた男達に、笑顔で言葉という刃を突き立てる蒼妃に土方が冷や汗を流したのも最初だけ。 彼は、何が楽しいのか終始笑顔で土方をからかい続ける彼女に辟易していた。 質素だが上品な雰囲気の蒼妃と意志の強そうな、凜とした雰囲気を醸し出す小梅――もとい土方。 これが目立たないわけがない。 「小梅さん、もうすぐ着きますから。 着いたらそのしかめっ面、どうにかしてくださいね?」 長い髪をさらりと靡かせて振り向いた蒼妃の言葉に土方は心の中で反論した。 誰のせいだよ――――。  
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