冬の向日葵、夏の椿

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  「まいど、ありがとうございます」 越前は満面の笑みを浮かべて深々と頭を下げた。 「お見立ては小梅様が? それともお夏さんが?」 「彼女で」 蒼妃はピッ、と土方を指差して一言。 すると越前の背後、店の奥から続々と現れた売り子たちが土方を少し奥まったところに案内する。 彼らは土方に向かって熱心に反物の説明をしている。 「採寸は如何いたしましょう? お兄様に此方にお越しになっていただくか我々がお伺いいたしましょうか?」 次から次へと商品を持ってきては滔々と説明をする売り子に圧倒されている土方を二人で眺めながら。 越前は蒼妃に聞いた。 「彼女に紙を。兄上様から伝えられているそうです」 「そうですか。なら、本日より取り掛かりましょう」  
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