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◇ ◇ ◇
ちゃぽん。
ちゃぷ、ちゃぷ、ちゃぽん。
蒼妃が張ってくれた湯に肩まで浸かりながら、濡らした手拭いを弄ぶ。
持ち上げた手拭いから落ちる雫が涙みたいで俺は顔をしかめた。
「おんなじ音や。イヤやなぁ……」
刀から、クナイから、地面に滴る標的達の血液が涙と同じ音だと気付く。
突然、この手で殺して来た奴らの顔が次々に脳裏をよぎり、俺を責める。
――――どうして。
痛い、辛い、苦しいよ――。
――私が貴方に何をした…………。
呪われろ。
お前も俺と――――。
――――幸せになんて、してやるものか!!
「止めろ。……消えろ……死んでんのに、出てくんなやッ――――!!」
誰一人、死ぬ覚悟なんて持っていない、普通に生きてた奴らだ。
どうして自分が殺されなきゃならないかなんて、全く分からない人たちだ。
怨むのは当然だけど――――。
「俺をッ、…………責めるな……ッ!!」
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