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「斎藤、さん?」
ぜえぜえと荒い息の斎藤は熱のせいで涙で潤んだ目を蒼妃に向ける。
「…………そ、うひ……?」
普段よりもかすれた声が柔らかく彼女の名を呼んだ。
だるそうに腕を上げた斎藤は蒼妃の頬を撫で、幼い子供のように笑った。
「…………蒼妃……可愛いな」
「なっ、えっ、は、原田さんッ!?」
ふにゃりと笑った斎藤の不意打ちに真っ赤になった顔で蒼妃は原田に助けを求める。
「…………な? 完璧に酔っ払い、だろ」
原田がはぁ、と盛大にため息をついたのと同時に障子が開いて山崎と藤堂が雪崩れ込んで来た。
「新八が襲われたってほんまか!!」
山崎の一言に、永倉は静かに泣き始めた。
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