ChapterⅠ

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カーテンの向こう側。桃色な雰囲気ではなかったが。 すぐ目の前に椅子、机、先生となっている。机の上には俗に言う水晶玉。 「では…魔水晶に触れてください…」 魔水晶と言うらしいものの上部に手を乗せる。理由は分からないが、素手で氷を持つくらいの冷たさを感じた。 「…魔力を…送って…」 先生が言う。勿論、魔法なんか使ったことなどない。魔力ですら未だにどのようなものか感覚が分からない。 「魔力を…注ぎ込むイメージを持って…」 先生に言われ、ただそのイメージのみを頭の中で行う。 ……体の中にある何かが俺の手に集中し、次の瞬間にはそれが出て行く感じがした。 最初は透明だった魔水晶の中に白い靄のようなものがかかり、徐々にそれに色が付いていくのだが、 「これは驚きましたね……」
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