2 勝負事

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突然の遙の告白に、戸惑いを感じてしまう。 だって、遙は小さいころから隣に住んでいたから、当たり前のように何も思わなかったけど、こんな場所で生まれたの?? 「太郎や、大胡もココほど治安悪くないけど、今でもこの近所に住んでるよ。 志緒理には理解できないような場所かもしれないけど、だけど俺たちはこの町が好きなんだ。こんなゴミ溜みたいに臭い町だけど、ココでしか生きられない奴らもいるんだ」 この町のバス停に降りた時、私は凄く怖かった。 まるで異国に来たかのように、全然知らない場所で、しかもガラが悪いって噂を聞いていたから。 だけど、遙はこの場所で生まれたんだ。  人から聞いただけで、先入観を持ってしまっていた。 何だかすごく恥ずかしい。 「ごめんね、遙」 遙が大切にしてる場所なのに、私は自分で確かめる事もなく、恐れていた。 それが、凄く失礼なように思えてしまう。 「なんで志緒理が謝るの? ビビるの当たり前なんだ、ホントにこの町は危ない。オレだって時々無性にこんな場所に生まれるんじゃなかったって、くやしく思う時だってあるくらいだぜ」 目を伏せて、憂いを含んだ顔をしながら遙は俯いている。 だから、私にはちゃんとした遙の表情がわからない。 だけど、声のトーンがすごく悲しみの音に聞こえる。 「…………」 どんな言葉をかければいいのかわからないから、私は遙とたった一つつながれている手に力を込めた。 「…オレと志緒理ってさ、全然考え方とか、価値観とか世界が違うと思うんだ。 オレは志緒理のそんな部分に凄くひかれてるけど、志緒理にとって…。 志緒理は、そんな違うオレを軽蔑するかもしれない」 そんな事………。 「なんで?あり得ないよっ! 私だって遙と同じようにひかれてるもん! 遙が大好きなんだよ?なんでそんな悲しい事言うの?」 「今はそうかもしれないけど、先はわかんねぇだろ。オレは志緒理を傷つけるだけかもしれない。 この前だってそうだ、ホントは大切にしたいのに、宝物のように優しくしてあげたいのに…なんか、メチャクチャにしてしまう。 志緒理が嫌がってても、無理矢理に抱いてしまった」 ああ、わかった。 遙はこの前の夜のことを言ってるんだ。
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