序章  物語はここから

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 今日は快晴。  むしむしする暑さ、蝉の煩い鳴き声、黙っていたら肌を汗がつたう。  誰もが活動をやめてしまいたくなるような暑さ。  とある場所に位置する町、自然ヶ丘町。  田舎でもないが林に囲まれたこの町で、アタシはいつの間にか一人ぼっちになっていた。  そんなアタシは、町にあるとある林の一角にて、今日も人を困らせる日々を送っていたのだった―― 「こらあああ! 待てええ!」 「ふんっ、待てと言われて待つバカは従順な犬くらいよ!」  首に巻いている長いマフラーをなびかせながら、アタシは木々をかわしながら走る。  どうしてかと言うと、先程この場所からそう遠くない所にある商店街で、男のサイフを盗んだのだ。  男は近くにいた警察を連れ、アタシと同じく木々をかわしながら走っていた。
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