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確か――あれはアタシがまだ幼かった頃だ。
アタシが生まれてすぐに両親を失い、それからはおじいちゃんに育てて貰った。
とても優しかったおじいちゃん……おじいちゃんは、人間の心ない言葉に追い詰められ、病んで……そして、死んでしまった。
だから、アタシは人間が大嫌い。
おじいちゃんはあの人間たちに死に追いやられた。
「んー、ひぃ、ふぅ、みぃ……。たったの4000円じゃなぁい! ……4000円かぁ、一週間も持ちそうにないわね」
アタシはいつもの木の上に登って、さっき盗んだ財布の中を確認した。
木の上は家のようなもの。
アタシの住むこの街の奥にある林の木の上で起きて、食べて、寝て……確か、あの日からまともな生活を送っていないはずだ。
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