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カーステレオのスピーカーからは、僕の知らない洋楽が大音量で流れ出している。
ふだん僕はほとんど音楽を聴くことがなく、どんな曲が流行っているのかもろくに知らない状況で、洋楽に至ってはほとんど聴いたこともない。
不快に思うほどのものではなかったけれど、少なくとも深夜にオープンカーでこれほどの大音量で音楽を流していては、たとえそれがどんな音楽であろうとも周りの人間に迷惑であるに違いないと思い、僕はボリュームを絞った。
しばらく走っていると、喉に軽い渇きを覚えてきた。
それは、最初は微かなものだったのだけれど、一度気にし始めるとだんだんと僕に不快感を与えるほどのものになり、ついに僕はそれに我慢できなくなってしまった。
ちょうどそのとき、進行方向の左前方に、コンビニエンスストアの明かりが見えた。
まるで神様か何かが僕のために用意してくれたかのような都合の良さだ。
僕はコンビニエンスストアの前の路肩に車を駐車して、店内に入った。
恥ずかしげもなく成年誌を立ち読みする中年男性の後ろを素通りして、僕は真っ直ぐに飲料の並ぶ冷蔵庫に向かって進む。
冷蔵庫の中には炭酸飲料、スポーツドリンク、お茶、酒と様々な飲料が整然と並べられている。
本当は冷たいビールを一気に喉に流し込みたい気分だったが、まさか缶ビールを片手に車を運転する訳にもいかないので、僕は諦めて500ミリリットル入りのお茶のペットボトルを一つ買って店を出た。
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