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レイは再び再び音楽のリズムに合わせて体を揺らし始めた。
よほどこの曲が好きなのか、今までの曲に比べると、ずっと激しく体を揺らしている。
レイが体を揺らす度に、その華奢な細い体に似合わないほど大きな胸の膨らみが上下に揺れた。
そんなレイを見て、僕は自然と男としての本能が目覚めていくのを嫌でも感じざるを得なかった。
先ほどから、レイの方に視線を向ける回数が明らかに増えているのは僕にもわかっている。
このままでは事故を起こしてしまうかもしれない、僕はそう思い、できる限りレイの方に視線を向けないようにして、慎重に車を運転した。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、レイは歌を口ずさみ、より一層激しく胸の膨らみを揺らしながら体を揺らして言った。
「ねえ、私、この曲がとても好きなの。リピート再生しても構わないかしら?」
「構わないよ」
僕はそう答えながらも、本音を言うならば、できることであれば運転に集中するためにも別の曲に変えて欲しかった。
だけど、楽しそうにしているレイを見ていると、とてもそんなことは言えなかった。
レイはステレオを操作して、リピート再生に切り替える。
一度終わったSYMPATHY FOR THE DEVILが再び流れ、そしてそれが終わるとまた同じSYMPATHY FOR THE DEVILが流れ始める。
何度も何度も繰り返し、同じ曲ばかりが流れ続けるのだ。
スピーカーから流れ出す音楽を僕がほとんど聴いていないに等しいとはいえ、さすがにこうも同じ曲ばかりが続くとうんざりしてしまう。
レイも体を揺らし続けることに疲れたのか、あるいは同じ曲を聞き続けることに飽きたのか、いつの間にか歌を口ずさむことも体を揺らすこともなくなっていた。
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