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「あわわわ!!」
そして今、男の腕の中で慌てているこの少女。
半年前に朝倉の犯罪組織に仲間入りした新人だ。
水田 稲美(スイデン イナミ)という可愛いらしい名前とは裏腹に、組織の仕事を冷酷に冷徹にこなしていく姿は、他のメンバーも驚くほどだった。
なぜ彼女は犯罪組織の一員になろうとしたのか?理由は彼女の過去に問題があるらしいのだが、水田はボスである朝倉にも他のメンバーにも話そうとはしなかった。
そして水田が朝倉に憧れを抱いているのもそれが関係している。
あらゆる仕事を完璧にこなしていく彼女が幹部クラスの地位までに上り詰めるまで時間は余りかからなかった。
今日、朝倉に突然呼び出された理由を水田は、先程まで全く分からなかったが、どうやら幹部にまで昇進したことに関係するらしかった。
「(これからなにするんだろう……幹部になった人間に対する恒例行事って一体なに!?他の幹部メンバーもこの恒例行事って奴を体験したのかしら……)」
上空300メートルで朝倉に抱えられながら色々と考える水田。
とりあえず下を見るのは止めておくことにした。
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