382人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな突拍子もない夢を体験した、黒井は、事情を聞いた親友の加藤と昼休みの廊下を歩いていた。
普段の2人なら、昼休みが始まった瞬間、校庭まで走り、サッカーや野球を小学生張りの元気で遊び倒すのだが
今の2人はそんなことしている場合ではなかった。
「とりあえず…職員室に行って先生に説明しないと…」
親友の加藤がポツリと呟いた。
「なんでお前がそんな不安な顔してんだよ。超能力者になったの俺だから。まぁ正直まだ信じらんねぇけどな」
黒井は加藤の背中を軽く叩いた後、ネクタイをきちんと締める。
職員室前まできた2人はノックをした後、ドアを開けた。
「あの…2年の黒井ですけど竹原先生いますか?」
「あ?バカ2人が何のようだ?早退ならさせねぇぞ?どうせお前らお得意の仮病だからな。」
黒井と加藤のクラスの担任教師、竹原和人は頭をかきながらノシノシと歩み寄ってくる。
「早退じゃねーんすよ。ちょっと厄介な事になりましてですね…。一応報告しに来ました」
黒井はヘラヘラ笑いながら竹原を見る。
竹原はめんどくさそうに廊下に出る。
「で?何の用だ?つまんねぇことだったら成績下げるからな。」
竹原の軽い脅しを無視して黒井は口を開いた。
「実はですね…あの夢を見てしまったんすよ…」
「あの夢って…おいおい冗談だろ?」
昼休みがもうすぐ終わりになろうとしている頃、職員室前で2人の少年と1人の大人の非現実的な会話が始まろうとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!