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風舞風太(カザマイ フウタ)は5時間目の授業に20分も遅刻して教室に入った。
風舞が教室に入った途端に、騒がしかった男子や女子が一瞬で静かになる。
「チッ…ゴミ共が…」
風舞は一番後ろの自分の席に座ると、教卓にいる教師を睨みつける。
「なに見てんだよ能無し教師…さっさと授業やれよ」
「お前…だめじゃないか…。遅刻の理由を教えなさい…。」
「あぁ?」
風舞が鋭く凶暴な視線を向けると、教師は顔をひきつらせ授業を再開した。
「(クソ…教師を完全になめきったあの態度…なんであんな生徒がこの学校にいるんだ…!!)」
風舞風太は世間で言う「不良」であった。
なんの理由もなしに破壊活動を行い、自分の思い通りにいかなければ、暴力を振るう。
校則で髪の毛を染めてはいけないというルールをダイナミックに無視した金髪。
バックの中身は教科書ではなく、たばこやライターなどの違反物のオンパレード。
明らかにクラスから浮いている彼に好意を持つ者はもちろん居なく、完全にクラスから孤立していた。
その孤立感や孤独感からかクラスメイトに暴力を振るってしまう始末。
そしてなにより彼がそんな風になってしまった理由が1つある。
「これ…横の人に回して…」
突然、一番前の席の女子生徒が横の席の男子生徒に1枚のメモ用紙のような物を渡した。
渡されたメモ用紙には、なにかしらの文章が書いてあるらしく、男子生徒はそのメモ用紙を読んだあと、横の席にいる生徒に渡した。
次々と回されていくメモ用紙。
男子から女子。女子から男子と、クラスメイト全員にメモ用紙が行き渡る。
ただ1人を除いて。
「な~にやってんのかなゴミ虫共。」
風舞は机を蹴り飛ばし立ち上がると、廊下側の席に座っている女子生徒からメモ用紙を奪い取った。
「…」
風舞はメモ用紙を見ながら無表情でクラスメイト達を見る。
「まじ殺すぞてめぇら…」
そのメモ用紙には風舞に対する誹謗中傷が書かれていた。
クラスメイト達の顔が一気に青ざめる。
「お、おい!席に付け風舞!」
「てめぇは黙ってろゴミ!!おうてめぇら!!なんなんだよこれはよぉ!!誰が回した!?ぶっ殺してやる!!」
風舞は拳を振り上げ近くにいる男子に接近する。
その瞬間、クラスに鈍い音が響いた。
顔面を殴られた男子生徒は、後ろに勢いよく吹っ飛んだ。
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