第一章 夢の中で得た夢の能力

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「それにしても遅いなアトミ。」 そのときドアノブの軽快な音ともに、屋上のドアが勢いよく開いた。 「ゴメン…二人とも…待った…?」 だいぶ涼しくなった10月なのに、大粒の汗を流しながら、古川 アトミ は黒井と加藤を見つめた。 スラッとした美しいスタイルと美貌。そして腰まで伸びた黒髪。 「美少女」と呼ばれるのが当たり前のような少女は加藤と黒井に歩み寄る。 「遅い!!掃除なんてサボれよ!!」 「仕方ないじゃない…私…委員長なんだもん…」 「そんな顔することないぞアトミ。黒井もそんなに怒るなよ」 「だまれ加藤!!俺は時間にうるさい男なんだ!!」 「いつも…自分は朝遅刻してるくせに…」 「なんだとこの野郎!!」 数分、3人はギャーギャー騒いだあと冷静に会話を開始する。 「まぁ…とりあえず。大事な話があるんだよアトミ」 「知ってる…勇太…超能力者になったんでしょ?」 「やっぱり全校生徒に伝わってたか…」 黒井は自分が超能力者になってしまった事を先生に話した。 最初は驚いていた先生だか、職員室に戻り他の先生達と会議を始めたようだった。 「あーなるほど。各先生方は帰りのHRで黒井の事を話したんだな。」 「そうらしいね…勇太の事は全校生徒にばれてるよ…」 「勝手に広めやがって…」 黒井はあまりいい顔をしなかった。 自分の事が全校生徒に伝わってしまう事は、やはり気持ちのいい事ではない。 「勇太で3人目だね…この学校の超能力者…。」 加藤はアトミの言葉を聞き、指で数を数える素振りをした。 「えーとE組の北条と…3年にあと1人いたなぁ。誰だっけ?」 加藤が黙るとアトミが小さく呟いた。 「確か…空力操作系…の能力者だったと思う…。」 「あっ思い出した!!」 加藤が叫ぶのと同時に黒井が呟いた。 「風舞風太?だっけ?」 そのとき屋上の奥の方でなにかが爆発した。 「うお!なんだ今の!!」 凄まじい音だった。普通に暮らしていれば無縁の音だ。 「俺行ってくる!!」 黒井は爆発のした方向に走り出した。 「まって勇太!!あぶないよ!!」 アトミの声を聞き流し黒井は走り続ける。 「心配ねぇさ!!なんたって俺は超能力者だからな!!」 黒井は真っ直ぐと危険な道へ踏み込んでいった。
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