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風舞風太と黒井勇太は、人の少なくなった校舎の屋上で、にらみ合っていた。
「早く逃げて先生達呼んでこい。」
黒井に促された少年は、足を引きずりながら、屋上のドアに向かって駆け出した。
「逃がすか!ゴミクズ!」
すかさず風舞は空気の塊を少年に放とうとする。
「うおおおお!!」
その瞬間、黒井は拳を握りしめ駆け出した。
瞬時に黒井は風舞の懐に潜り込むと、強烈なアッパーカットをお見舞いした。
その反動で風舞は後ろへ大きく仰け反った。手の平の空気の塊も消えてしまった。
「…っ!!この野郎!!」
風舞は体のバランスを取り戻し、黒井に右手を突き出す。
そして黒井も風舞の顔面に拳を繰り出す。
やがて、ボォウ!!という空気の唸る音とともに、風舞の手の平から突風が吹き荒れる。
風舞の風を拳で受け止めた黒井は、そのままノーバウンド、で後ろに吹き飛んだ。
コンクリートの地面に、背中を打った衝撃で息を吸う事が出来ず、肺の中で酸素が逆流する。
「っ…がはっ…!!」
黒井はしばらく地面でのたうち回ったあと、ゆっくりと立ち上がった。
「はぁ…はぁ…」
風をくらった右腕に激しい痛みが走る。まるで硬い金属の棒で、コンクリートを殴ったか様な痺れ。
しかしそんな事は気にせず黒井は再び拳を握りしめる。
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