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数分後…地面に積み重なって倒れている男達を見ながら木下は無線機の向こうにいる仲間と会話していた。
「こちら木下。西側の通路は制圧したわよ。まぁ5人しかいなかったけど」
そのあとガーというノイズとともに無線機から少女の声が返ってくる。
「了解です木下隊長。こちらも数十人を確保しました。任務完了です。つか1人で大丈夫でした?応援の部隊を向かわせるべきでしたかね?」
「平気よ。あんたこそ大丈夫だったの?」
「まぁ私は部下に命令だしてただけでしたからね。つか眠いです。」
「ちょっと!?寝るなよ寺島!?さっさと回収班連れてきなさいよ!?」
寺島と呼ばれた無線機の向こうにいる少女は大きなあくびの後に了解とだけ言うと会話を切った。
木下は路地裏からでると顔を上げ空を見た。
明るい日差しが木下の体をやさしく照らす。
しばらくたって木下は自分の手をまじまじと見つめた。
「便利な右手よね…だって触れただけで全部…」
「木下隊長」
いきなり名前を呼ばれた木下は驚いたように横を向く。
「びっくりさせないでよ…」
そこには重々しい装備で身を固めた人間が数十人立っていた。
「お怪我はありませんか」
「大丈夫大丈夫。そこの通路の奥にいるから回収しといて。」
木下がそれだけ言うと武装した集団は通路に入っていく。
「さすが隊長ですね。つか最強だろアンタ」
無線機の少女、寺島朝日は両手でルービックキューブをいじりながら話しかけてきた。
木下とちがい寺島は短いショートヘアー。どこにでもある学制服に身を包んでいる。
「あれ?クレアは?」
「クレアは東側で回収活動してます。あとで合流できるでしょう。つか結構人数いましたねこの組織」
「そうね…」
木下は通路の奥を眺めながら言った。
「最近一気に増えたわよね。こういう犯罪組織」
「そうですね。今年に入って3つ目ですよ。壊滅させた組織の数。つか能力者が増えるとそれに比例して犯罪組織も多くなりますね。」
寺島はルービックキューブを完成させるとつまらなさそうにポケットにしまう。
「まぁいいわ。増えてもあたし達が全部壊滅させてやるわよ」
「同意見です。つか私もそのためにこの仕事してますから。」
2人の少女は再び路地裏に入っていく。
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