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「うわっ!!なんだ今の…」
「どうかなされましたか?」
能力省、研究機関。
誰かの叫び声を聞いたような気がした
黒井勇太は辺りを見渡す。
受付の女性も心配そうに黒井を見つめる。
「嫌…すみません。気のせいだったみたいです。」
「そうですか。なにもなくてなによりです。では能力の登録と仮実験を行いますので、お名前をお呼びするまで今しばらくお待ちください。」
「はーい。」
黒井は受付を終えると研究機関のロビーに置いてあるソファに腰掛ける。
「それにしても凄い広さだな…」
研究機関の建物の天井はガラス張りで、淡い青色で統一されている。
それが何層にも積み重なり、美しい建物が出来上がっている。
その綺麗な透明感が建物全体の広さや奥行きを際立てさせていた。
ボーっとしている黒井の頭の中に突如として昨日の出来事が蘇る。
様々な負の面を抱えて暴走してしまった風舞風太。
黒井は悔しそうに青く透明な天井を見上げた。
「風舞…」
はぁ…と大きなため息をつく黒井。
「今頃なにしてるんだろ…」
その風舞がたった今、誰もが羨むハーレム状態に陥っていることを、黒井は知るよしもないだろう。
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