それぞれの10月15日②

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そして少女はニタニタと笑顔で男を見る。 そんな少女を見て男は半笑いで呟く。 「なんかやけに嬉しそうだな。不気味な笑顔しやがって」 すると少女は照れくさそうに、男のロングコートの端をグイグイ引っ張りながら答える。 「嬉しいですよ……そりゃあ……」 「なんで?」 なぜか分からないが少女の顔がみるみるうちに赤くなる。 まるでリンゴのようになってしまった少女は小声でポツリと呟く。 「そりゃあ……私の憧れるボスは……無差別に人を傷つける人じゃないと信じてましたから……最初に話を聞いた時はビックリしたけど……真相が聞けて安心しました」 「可愛いなお前」 「!?」 ボンッと顔から熱が吹き出るような勢いで少女の顔はさらに真っ赤になる。 必死に顔を冷やそうとパタパタ手で仰いでいる。 そんな少女の様子を見て男はニヤニヤしながら口を動かす。 「なんだよ。まるで俺に惚れてるようなリアクションとりやがって……今日からお前は俺の右腕じゃなくて愛人な?」 「なななな!?」 いきなりの男の発言にボンボン爆発する少女の顔。 それをみるたびに男はニヤニヤと笑う。 しばらくすると少女がモジモジしながら、なにか話始めたので男は笑いながらそれを聞く。 「……冗談はやめてくださいよ!!っていうかなんで今日突然、私と会うなんて言いだしたんですか!?……待ち合わせ場所まで決めて……しかも2人だけだなんて……これじゃまるでデート……」 「なんか言ったか?」 「!?なんでもありません!!」 「ふふ……バッチリ聞こえたさ。待ち合せ場所まで決めて、しかも2人きり……まるでデートだな」 「ぎゃあああ!!」 しばらく男は少女に冗談とも言えない冗談を連発し、その後のリアクションを楽しむと本題に入った。 「今日お前を呼び出したのは他でもない。お前に見せたいモノがあるのだ」 「見せたいモノ?作戦以外でボスが私に会うということは、相当見せたいモノがあるんでしょうね」 「あぁ……。お前が俺の組織に入ってからもう半年。しかもまだ15歳だろ?大したもんだ。この短期間でよく俺の右腕になれたもんだよ。それをふまえて、これからやるのは……まぁ恒例行事みたいなモンだ」 「恒例行事?」 「そう恒例行事。組織の幹部になった人間を祝うための恒例行事があるんだよ」 すると男は少女から少し距離をとった。
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