それぞれの10月15日③

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少年の正直な感想を聞いた女は苦笑いで話す。 「昼間に行われた地下実験場での実験で黒井は戦車五台を破壊し、低空飛行のガンシップを四機撃墜した。人類の兵器じゃああの男を黙らすことはできないね」 「“反射”とか応用できんだろうな」 「ほう……よくそこに気が付いたな。彼は自分の体に触れた物質を逆方向に“反射”することができる。これもベクトル操の応用だな。防御最強、攻撃も最強って……オマケに超ハイレベルな高演算能力まで付いてやがる。まぁ“一方通行”(アクセラレータ)の本質はそこにあるんだろうけどな」 「で?俺の質問にはいつ答えてくれるんだ?」 「ん?」 「なんでその一方なんちゃらの話を俺にする?俺には関係ない」 女は無言で立ち上がると部屋の隅に置いてある冷蔵庫を開ける。 冷たい炭酸飲料水を取り出し、キャップを外し一口飲んだ後、女は話す。 「分かっていないな君は……。今、我々研究機関のメインプランは一体なんだと思っている?」 「……俺が知らないわけないだろうが」 少年は凶暴な眼で女を睨み付けながら言った。 「“未来兵器”(ネクストメイカー)―――」 少年はベッドから起き上がると、自分の右手を前に伸ばす。 その瞬間、少年の何も無い手の平から眩しい光が発生した。 蒼白い光はバチバチと電気が漏電するような音を部屋の中に響かせていく。 すると突然、蒼白い光がまるで剣のような形を作り始めた。 伸びたり縮んだりを繰り返しながら、蒼白い光は徐々にその形を作りだしていく。 やがて光は収まり、少年の手には独特なフォルムをした剣のようなモノが握られていた。 ハサミのように二つに分かれた刃が剣の真ん中辺りの部分に付いており、その刃の真ん中を貫くように別の刃が伸びている。 女はその禍々しい剣を見て呟いた。 「ほう……相変わらず今の人類じゃ考えられんような形をしているな」 「……」 「それは一体何年後の兵器だ?」 「……この兵器は今からあと三十年後に開発されるブツだ。この時代の戦争に介入させたら大変なことになるな」 少年はめんどくさそうに呟くと、剣をベッドの外に放り投げた。 少年の手から離れた剣は部屋の床に落ちる前に空中で消滅する。 女は消滅した剣を名残惜しそうに見ながら呟いた。
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