それぞれの10月15日③

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「そう……我々研究機関のメインプランとは……君の所有するオーバーランク能力、“未来兵器”(ネクストメイカー)を完成させることにある」 少年はそれに付け足すように話す。 「あぁ……俺は絶対にこの能力を完成させる。そのためにはお前ら研究機関の力が必要不可欠だ」 「“未来兵器”(ネクストメイカー)―――人類が未来の世界で開発するであろう物質を高度な演算能力によって現代に出現させる脅威の能力……簡単に言えば……」 少年は女に続けて呟く。 「未来の物質を現代に生み出す能力だ」 まぁ、と付け加えて少年は続ける。 「偉そうなことを言ってはいるが俺の“未来兵器”(ネクストメイカー)はまるで完璧という段階には到達してねぇ……精々百年……いや五十先くらいまでの未来しか生み出せねぇ」 「だから私達がいるんだろう?」 「あぁ……俺の“未来兵器”(ネクストメイカー)は無限の未来じゃなきゃダメなんだ。それこそタイムマシン、いや超時空の神レベルにならなきゃならねぇんだ。研究機関……期待してるぜ?」 少年はまるで幼い子供が親に玩具をねだるような希望に満ちた目で女を見た。 しかし女がこれから話す言葉はそんな希望を打ち壊す無慈悲な一言だった。 「残念ながらそれは叶わない願いだよ」 「は?」 呆気にとられた顔をする少年。 そして徐々にこみ上げてくる怒りを顔に滲ませていく。 「どういうことだよオイ?今なんて言った?」 「ん……?だから叶わない願いだと言ったんだよ。“未来兵器”(ネクストメイカー)は完成しない。できない」 「……俺の聞き間違いかな?もう一度聞く。今なんて言った?」 「我々研究機関は“未来兵器”(ネクストメイカー)に一切関わらないことにした。つまり君の研究をやめることにしたんだよ」 女がそう言い終えた瞬間―― 女の立っていた後ろの壁が跡形も無く吹き飛んだ。 耳の鼓膜を引きちぎるかのような轟音を轟かせ、少年は自らの生み出した未来の剣で女の後ろに存在するモノを原理は分からないが、根こそぎ吹き飛ばしたのだ。 夜の能力省の空中に、粉々になった壁の瓦礫や窓ガラスが飛び散る。 女と少年のいる部屋の壁が吹き飛んだことにより、冷たい夜風が部屋に吹き込んできた。 その風を背中に浴びながら女は、今も剣先を壁が存在していた空間に突きつけている少年に話しかける。
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