それぞれの10月15日③

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女は続ける 「“一方通行”(アクセラレータ)は史上最強の能力だ。ゆえに応用力も凄まじい。今後は“一方通行(アクセラレータ)”を研究していくよ。“未来兵器”(ネクストメイカー)はもう用済みだ」 「……なるほどね」 少年は案外冷静に答えた。 少年の能力を用済みと言って、かわりに新しく誕生した能力を開発すると言ってのけた女が若干戸惑うような態度だった 少年は続ける 「……そうか……俺は用済みか……だが諦めねぇぞ俺は……」 「……なんだと?」 「……俺は絶対に“未来兵器”(ネクストメイカー)を完成させなきゃならねぇ理由がある……たとえこの身が朽ちようとも、ゴミカスになろうとも……俺は“未来兵器”(ネクストメイカー)を完成させる」 「勝手にしろ。でもどうする気だ?我々はもう“未来兵器”(ネクストメイカー)には関与しないぞ?」 「簡単な話だ。“一方通行”(アクセラレータ)を所有している野郎の名前はなんだっけか?」 「黒井勇太。この近くの高校に通っている少年だ。キミと年も近いよ。それがどうかしたか?」 女の言葉を聞いた少年はニタニタと不気味に笑い出す。 その声は吹き付ける夜風の音に交じって不快に響く。 そして少年は無気力に起き上がり、狂暴な目を女に向けた。 「黒井勇太を殺す」 少年は言った 冷静に冷酷に冷徹に無慈悲にそう言った。 それに女は答える 「そうか。それが君の選択か」 「あぁ。黒井勇太が消えれば“一方通行”(アクセラレータ)の研究はお釈迦だ。そうすれば今まで通りに“未来兵器”(ネクストメイカー)の研究が再開される」 「だがそのためだけに無実の人間を殺めるのかキミは」 「殺すよ。女だろうが男だろうが俺の邪魔をする奴は皆殺しだ」 「……そうか。だがくれぐれも我々研究機関を巻き込まないでくれよ。能力部隊に捕まるとしてもキミだけにしてくれ」 「あれ?止めないのか俺を」 「止められないんだよ」 女は呆れたように言った。そして女は部屋から出て行こうと、ドアのノブに手をかけた。 その時、女は少年に問う 「いつ実行するのだ?」 少年は笑いながら答える 「ちゃんと計画を練るつもりだから、だいぶ先の話になるな。仮にも相手はオーバーランクの能力者だ。学生だと侮って挑んで返り討ちにされちゃあ話にならねぇ」 「そうか」 女はそれだけ言って部屋を出た
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