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不思議な夢であった。
黒井はあたり一面金色の空間に漂っていた。
夢にしては鮮明でリアル。
自分の呼吸する音以外は何も聞こえない摩訶不思議な空間。
「やけにリアルな夢だなぁ…あー…なんかきもちぃ~」
ユラユラとゆりかごの中にいるような感覚に虜になった黒井は体を揺れに任せる。
「はじめまして黒井勇太さん」
「!?」
突然目の前に銀髪の少女が姿を表した。
驚いた黒井は体を起こした。
「!?君は!?」
「私の名前はグレイ。グレ子と呼んで下さい。」
「グレ子…」
とりあえず黒井は少女の姿を眺める。
長い銀髪に赤い瞳。白いワンピースを着ていて、頭に変な王冠のような物をかぶっている。
そしてなにより…
「めちゃくちゃ美人だね…」
「ふふ…黒井さんも悪くない方ですよ」
こんなかわいい娘にそんな嬉しいことを言われたのは初めてだったので黒井はモジモジと手と手をすり合わせる。
「はは…ありがとう。(かわいいなぁ…でもこれ夢なんだよなぁ。)」
黒井勇太はぱっと見普通の高校生。
短めの黒髪に細い体。別にどこも変じゃなかった。
「んで?俺になんか用か?」
夢だと分かっていても女の子の前では、かっこ良くありたい。
少し口調を大人っぽくした。
「はい。実は黒井勇太さんにプレゼントがあるんです。」
「え!?なになに」
黒井は少女の口から「私のカ・ラ・ダ☆」
という言葉が出るのを期待したが驚きの言葉が返ってきた。
「あなたに超能力を提供します。あとは自由に生きてください。」
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