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お店を出ると、吹き抜けていく夜風が気持ち良くて、思わず伸びをする。さっきまでのみじめな気持ちも流される感じ。
そうだ。1駅分歩いちゃおうかな。
あたしは少し酔っていて、ふわふわした頭で思った。
「希ちゃん!待って!」
…?
後ろを振り返ると水嶋さんが走ってくるのが見えた。水嶋さんはあたしに並ぶとにこにこして言った。
「一緒に帰ろう。」
断る理由が見つからず、あたしはうなずいて黙って歩き出した。
「具合は大丈夫?」
「えと…具合ですか?大丈夫ですけど…?」
「良かった。茉希ちゃんに希ちゃんが具合悪いみたいだから送ってあげてって言われて心配だったんだ。」
茉希の奴…
余計な事を!
「水嶋さんこそ、2次会行かなくて良かったんですか?」
「んー…俺、実は、あんまりああいう場って得意じゃないんだよね…」
意外…。
もっと飲み会大好きみたいなイメージがあったけど、違うんだ。
「でも今日は希ちゃんと再会できたからきてよかったな。」
「…」
前言撤回。
やっぱり軽い。
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