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―――――― 私の初めての相手は、実の父親だった…………。 あの日の事を思うと、今でも虫酸が走る。 吐き気を覚える。 私は八人兄弟の一番上として産まれた。 私が物心付いた時には、母親は妊娠中で幼い弟妹が二人。 小さい頃は弟妹の世話をするのが当たり前だったが、小学校高学年になると、いつ見ても幼い子供を連れている母親に嫌気がさしていた。 決してこうなるまいと、心に決めたのだ。 母親は女を捨て、母親として形振り構わず家事を熟(こな)していた。 私はいつも弟妹の面倒を見ていたが、母親の目が私に向く事はなかった。 高校生を目前にしたある日、私は処女を失った。 相手はあの男。 血の繋がった、実の父親だ。 あの夜、ベッドで眠る私の布団に入り込んできた獣。 それは酒臭い息を吐きながら、私の口を押さえ付けた。 何が起こっているのか私は分からなかった。 相手が父親だというのは分かっていた。 そしてその獣は、私の中に押し入ってきたのだ。
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