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彼女を私の部屋で休ませると、私は彼女の自宅に電話した。彼女の母親が電話口に出る。
少し話すと、快く週末の外泊を許してくれた。
期間は金曜日の夕方から日曜日の二泊三日。
場所は私の自宅。
連絡先は私の携帯。
外泊の理由は適当だ。要するに口八丁。
前に塾の講師という事で一度電話をしているので、話を通しやすかった。
そして金曜日の夕方。
にこやかに見送る母親を後に、私は彼女と荷物を車に乗せて、病院へと向かった。
彼女は沈痛な面持ちで、ずっと黙っている。
私はかける言葉もなく、ただハンドルを握っていた。
病室で受付を済ませると、病室に案内される。
そこで説明を受けた。
不安げな瞳を湛えた彼女の手を、私は黙って握っていた。
土曜日の午前中に手術、日曜日の午前中には退院だ。
手術は無事終わった。術後も問題はなく、今後も妊娠する事が出来る。
――彼女の傷が癒えれば、だが。
私の自宅へと連れ帰った彼女は、とても大きなダメージを抱えていた。
ベッドで横になるように促すと、ただ身体を撫でる。
ゆったりした時間が流れていく。気づけば、彼女は眠っていた。
夕方には家に送り届けなければならない。
でも今は、ゆっくり眠らせよう。
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