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客の家からの帰り道。 私は彼女を見つけた。 暗い路地から出て来て、壁を伝うようにふらつきながら歩く彼女を。 私の車のヘッドライトに浮かぶ彼女の衣服は乱れている。 私は彼女に何が起こったのか、すぐに悟った。 車を道の端に止めると、下りて彼女に近づく。 声をかけようとするが、それより先に私の気配に気づいたのだろう。 身体を強張らせて、怯えた視線を向けてきた。両腕で自分の身体を抱えている。他人を拒絶し、自分を守るかのように。 怯えて傷ついた瞳は、今にも壊れそうな彼女の心を映している。 私は言葉を飲み込むと、そっと手を差し延べた。そしてゆっくりと、優しく彼女の頭を撫でる。 彼女は相手が女だと分かると安心したのか、途端に嗚咽を上げ始めた。私は更に近づき、触れるか触れないかで彼女を包み込んだ。 私の腕の中で彼女は泣き崩れた。 そんな状態で、名前と電話番号だけをどうにか聞き出す。彼女の自宅に電話をする為だ。家族が心配しているだろう。 私は電話をかけると、塾の講師のフリをして彼女の帰宅が遅くなる事を伝えた。すると、母親の苛立った声が聞こえる。 帰宅の遅い娘を心配しているのだろう。 私は責任を持って送り届ける事を約束すると、彼女を車に乗せて私の自宅に連れて帰った。このままでは帰す事は出来ないと考えたのだ。 今、彼女はシャワーを浴びている。 本当なら警察に行くべきだろう。でも彼女がそれを拒絶した。 本人の意思を無視して連れていく訳にはいかない。 私は彼女の血で汚れた下着をゴミ袋に入れると、新しい下着を用意した。
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