第一章

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  ☆……  そして放課後。  悠里は素早く荷物をまとめ、席を立った。  今日はさっさと帰りたい気分だった。  荒っぽく教室の扉を開き、昇降口へ向かう。  靴を履き替え校舎を出ると、眩しい日差しが襲ってきた。  相変わらず雲一つ見えない青空。  それを見上げる悠里。  朝と違うことと言えば、太陽が真上に近くなっていることくらいだろう。  悠里は、もう今日は何もせずに寝てしまおうと思った。  何しろ、「一度期待させておいてやっぱダメでした」という一番精神的に効くことをされたのだ。  その点で言えば朝より酷いかもしれない。  とりあえず、家に帰ろう。  そして明日からまた、去年と同じような生活をする覚悟を決めよう。  そう思った悠里は、帰路へ足を運んだ。  彼が去った後には、寂しく桜の花弁が舞っていた。 ♪…… 「疲れたぁ……」  遠藤命は呟きながら、ふぅと嘆息した。  ついさっきまでクラスメートといたのだが、ものすごく疲れた。
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