第一章

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 命は自然と人に好かれ易い。  だがそれは所詮、表面上の話だ。  裏では何を言われているか分からない。  うちの両親だって、モデルになれとうるさい裏には金銭事情があるだろうし、友達には一度裏切られた。  それに、今まで告白をしてきた男の子は、皆私の顔しか見てない。  だから私は、ホントは誰にも愛されていないんだと思ってる。  それでも表面上の付き合いはやっているが、正直嫌で仕方がないから疲れるのだ。  本当に醜い考え方だと命自身思うが、別に間違っているとも思わない。  とりあえず、疲れた。  さっさと帰ろうと思い、朝教えてもらった道を逆に辿っていく。 「あ、そうだ」  彼に、まだお礼すら言っていない。  というか名前も知らない。  クラスも同じなのに、なんでこうなったんだっけ?  顎に手を当てて考え、自己紹介の時のことを思い出す。  確か、話しかけたらクラスの雰囲気が変になって、そこで彼は知らないふりして、わけが分からないまま流されてしまったのだ。  なぜ彼に話しかけた途端、変な空気が流れたのかは分からない。  そう、ただ話しかけただけなのに。
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