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なんだったんだろう?
「――って違う違う」
今考えるべきはそういうことじゃなくて。
どうやって彼に感謝を伝えるか、だ。
こういう礼儀は必要だと思うし、第一伝えないと気分が悪い。
ただ今日の様子を見る限り、学校では無理だろう。
帰り道が一番簡単だが、すでに彼は帰ってしまっているはずだ。
始業式をサボった辺り部活を真面目にやっているとは思えない。
となると、彼の家くらいしかないが場所を知らない。
「う~ん……」
しばらく考えてみるが、良い案は浮かばない。
とりあえず、彼と出会った場所まで行ってみよう。
手掛かりはそれしかない。
そう思った命は、少し急ぎ気味に歩き始めた。
彼女の去った後には、散った桜が地面に撒き散らされていた。
♪……
そして着いた。
彼と出会った場所。
しかし、そこは単なる道で何かあるはずもなく。
ただただ無愛想なアスファルトと並び建つ家々が広がるのみだ。
そんな場所にいても仕方がないので、今はすぐそこにあった橋まで来ていた。
理由は、住宅街が広がる中では唯一目印になりそうだったからという至極単純なものだが。
昼から夕方に切り替わる手前の微妙な色をした空の色を、川が反射して不思議な空間を生み出す。
さて、ここに来たはいいとして。
「どう探そう?」
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