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「夢、か……」
嫌なもん思い出したな、とか思いながら彼――三河悠里(みかわ ゆうり)はダラダラと起き上がる。
軽く伸びをすると、体の節々がパキパキと音をたてた。
ちょっと痛い。
イラっとする。これが快感の人の気がしれない。
朝っぱらからそんなくだらない事に思考を巡らせつつ、悠里は用意しておいた朝飯用の食パンをくわえた。
そのまま手早く制服に着替えると、いつもどおり眠気覚ましのため外に出る。
空は快晴。雲一つ見えない陽気な天候だ。
そんな中、悠里は食パンをくわえたまま空にうぜぇの一言を浴びせる。
まったくもってお天道様は理不尽なものだ。
こういう日に限ってムカつくほど綺麗な青空を見せやがって。
くわえていた食パンを手を使わずに器用に口に収め、しばらくモグモグと噛んだあと飲み込む。
やっぱ朝は食パンに限る。トーストすればなお良しだが、生憎そんな設備悠里の家にはない。
そんなことより、さらに悠里を失意させるのは今日の予定にあるだろう。
「始業式、か。最悪だ……」
今日は、高校生活二年目が始まる日だ。
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