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屋敷の者たちが次から次へと膝を折りお辞儀をしていく。
その花道を静かに通って乗り込む車。
私たちが乗り込むと車は静かに滑り出す。
目的の場所……松谷を目指して。
不気味さにも似た静かな時間が広がっていく車内。
これから先に起こることに恐怖心すら感じることがなくなった、
何も感じない心。
火綾の巫女に……感情は必要ない。
自我を求められることはない。
ただ……そこにある……器としての存在。
壊れていく……。
私を取り巻く世界が静かに音を立てて壊れていく。
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