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私、秋月桜瑛(あきづき さえ)。
神前悧羅学院の大学医学部に在籍中。
特殊な家に生まれ、
おおよその人が理解しがたい世界で今を必死に見出そうとしてる。
大学生なんていいながら、
学校に通うのも……思うようにいかない。
火綾(かりょう)の巫女。
一族の中で巫女になれるのは私一人。
秋月家の御神体である、焔龍【えんりゅう】を
龍神をこの身におろし一族の姫君である月姫を守り抜くこと。
それが私、秋月桜瑛の使命であり与えられた役割。
私は火綾の巫女の為に生かされ続けてる。
何時からだろう。
物事が歪んで見えだしたのは……。
何時からだろう。
こんな歪んだ物言いしか出来なくなったのは。
私の主、月姫【つきひめ】の今の名は、
秋月深優姫【あきづき みゆき】。
まだ幼い小学生の彼女の存在が私を醜く歪めていく。
幼い彼女には罪もない。
ないはずなのに……彼女に罪を被せでもしないと、
自分を上手く保てない。
……火綾の巫女……。
巫女としてでのみ本家で存在する意味を見出されて、
操り人形の如く本家の指示で日々を生きる。
そんな私が寄り添うように惹かれて幼い日に出逢った彼。
彼の名は……徳力神威【とくりき かむい】。
彼もまた……私と同じ匂いがする人。
幼い時から一族の為に心を殺して歩き続けることを
余儀なくされた存在。
何時から……始まったんだろう。
初めて……お互いが惹かれあうように、
躰を重ねて以来……こうやって今も一緒にいるのが当たり前になってる。
躰を重ねて、お互いを感じあえる時間だけが……
ただの何物にも縛られない私になれる甘い時間。
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