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というわけで、今日は慧音の家に泊まることになったのだが、まだ寝る時間でも無い。
慧音に聞きたいことは色々とあるのだが、彼女はついさっき蓮次の為に夜食を作りにいったばかりである。
折角自分の為にしてくれているのに、止めさせてまで質問するのも気が引けるし、何より蓮次も夕食を食べていない分、空腹だった。
で、結局何なのかと言われると、暇なのだ。落ち着いたとも言うかもしれないが、何もすることが無いのは確かだった。
(にしても……)
まさか本当にこんなファンタジーな世界があるなんて、夢にも思ってなかった。
訂正、夢に思ったことはあった。……そう、あれは小学生くらいの時、昔の人は魔法を使えたとかマジで信じていた自分が懐かしい。
その時期に幻想郷へ来ていれば、多分それはもう引くくらい喜んで、んで一週間くらいしたらホームシックになって、泣き泣き帰ってきていたんだろう。
しかし今は住んでいた世界が恋しい。早速ホームシックである。
まぁ、明日になれば帰れるのだ。気分的にはちょっとした異世界旅行、帰ってアンビリーバボーにでも投稿したら取り上げてくれるんじゃないか。
などと馬鹿らしいことを考えていたその時、蓮次の背後変な音が聞こえた。
少なくとも、蓮次が生きてきた中で聞いた事が無い、不思議な音。近いもので、食用肉を包丁で切ったような音が当たるが、それにしては生々しさがまるで無く、何かを裂いたようで気味が悪い。
聞き間違えにしてはえらくハッキリと聞こえたので、なんだなんだと蓮次は辺りを見渡して、止まった。
後ろを向いた蓮次の真正面に、いつの間にか、一人の女性が蓮次を見下ろしていたのだ。
アンビリーバボー。まさに、んなアホなである。
「こんばんは」
妙な音と共に現れた(と思われる)女性は、ウェーブが掛かった金髪の髪を揺らしながら、蓮次に話し掛けた。
「は……え……?」
突然の美女出現に戸惑いを隠せない蓮次は、意味も無くまた辺りを見渡す。
当然何かが変わるワケでも無く、数秒間の微妙な間が開いただけ。
そしてこの数秒間で蓮次が出した結論が、
「け、慧音さん!」
慧音の呼び出しである。
もう夜食とか知ったことか。夜食よりまずこの謎の美女である。ってわけでさぁ早く慧音カモーン。
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