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「あれ、まぁ私は人間じゃないけど、外来人に一目で解られるとは思わなかったわ」
感心した様な口振りで、少女は言う。
その言葉の中でも、蓮次が気になったのは、そんな感心した口振りでも、少女が人間じゃないのをあっさりと肯定した事でもなく、一つの単語だった。
「外来人って、なんだよ」
「違うの? だってそんな服着てる奴なんて、外から来た人間───外来人としか思えないもの」
話が噛み合っているのかいないのか、それすらも良く解らなかった。
少女曰く、蓮次は外から来た人間となっているらしいが、ハッキリ言って今蓮次達がいる場所も外である。
「それ、どういう意味……」
似たような質問をした蓮次に、少女はやや呆れ顔になっていた。
「……アンタ、賢いのか馬鹿なのか良く解らないわね。だから言ってるじゃない。貴方、外の世界からこの幻想郷に来た、外来人なんでしょ?」
(世界……? 幻想郷……?)
まさか、とそこで蓮次は、ある可能性に気が付いた。
いや、その可能性自体は、今少女が目の前で当たり前の様に言った事なのだが。
──つまり、蓮次はいつの間にか、自身が居た世界とは、違う世界に飛ばされていた。という可能性。
思い当たるフシといえば、一つしか無い。あの玄関から一歩踏み出そうとした瞬間、落ちる要素など皆無の場所で、何故か落ちてしまったあの瞬間。
目を開けていれば良かったと、蓮次は後悔した。そうすれば、この異世界へ来た方法が解っていたのに。
「幻想郷って、何なんだ?」
「あれ、外来人についての質問はおしまい?」
「ああ、自分でなんとなくだけど整理して、解った気がする」
「ふぅん、そう、なら良いけど。幻想郷っていうのはね、………………」
少女の口が止まった。
その途端、少女の顔に幾つかの汗が流れ始める。
そして蓮次はなんとなく、悟った。
(コイツ、説明出来ないのか……)
「幻想郷って言うのは、言うのは……」
知らないというよりかは、どう説明して良いか解らなさそうな、口振りや表情の少女。
「あっ、そうよ結界! なんか凄い結界で、外の世界と幻想郷を区切って、今の幻想郷があるの!」
「結界? でも、そんなの抜けた覚えは……」
少なくとも、あるにはあった。
これまた玄関から落ちた時だ。アレが結界を破った、という事なのかどうかは、今の蓮次には解らないが。
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