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『ぇ……、ぁ………。』
「…」
どうやら今日は仕事がなかったらしい。
初めて耳にした事実に瑠威は戸惑っていた。
「…連絡…いかなかったのか?」
『ぁ…の、家の電話昨日止まってしまって…』
「連絡がこなかったと?」
『はい…。』
しばらく沈黙が流れる……―。
「おい。」
『…はいっ…!』
「お前…今日暇か?」
『…ぇ』
「…暇か聞いてんだよ」
『暇ですけど………』
「…けど?」
『…ッ………暇です…。』
瑠威はなにか言いたそうだったが涼が怖かったのか…なにも言えなかった。
涼は、この機会に自分が気になる事を瑠威から聞き出そうとしていた。
「俺についてこい。」
『はい。』
「…」
――――――
案内されたのはなぜか広場だった。
普段は瑠威が掃除する以外入れない場所。
涼が食事をする場所でもあった。
瑠威は椅子に座れと言われ、
静かに腰をおろす…。
『…?』
「お前と話がしたかった。」
『…っ!』
急に顔が赤くなる瑠威。
『話…ですか…?』
自分に話があると言う涼を不思議に思う瑠威。
「…お前なんでいつも
長袖長ズボンなんだ?」
『!』
ドクン……―。
『ぁ…』
「…」
瑠威を見つめる真直ぐな涼の目。
『…ぁ…あたし
寒がりなんです…。』
「は?」
『…ッ。
寒いんで…』
「…暴力とかうけてんじゃねーの?」
『…』
「厨房の女から聞いたけど
いつも残り物貰ってるんだよな?
それに母親の事も…『ほっといてください!!』
いきなりはっせられた声にびっくりする涼。
「!!」
『ぁ……』
「…」
『失礼します…!』
バタン………!!!!
結局涼は何も聞けず、瑠威は勢いよく屋敷を出て行った…。
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