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「まぁ、警戒だけしとくかな」
お前も警戒しろ。
という意味を暗に込めて、俺は剣に手をかける。
あの馬が狼に追われているのか?
それとも馬上の人間の連れか…
狼連れてる人間ってのも結局警戒対象だが…
馬が大分狼を引き離している。
……先に馬を保護して後ろの狼が何なのか確めるか?
思考していると、馬が街道に入り、遅れて狼が入って来た。
あの馬と狼の距離なら…
そう判断し、馬に近付こうとするとファルが俺の計画を全てぶち壊す言葉を叫んだ。
「一度止まって貰おうか!!」
その言葉を受けて、馬上の人間が手綱を引き、馬の速度を落とした。
「ちっ!」
舌打ちをして全力で走り、剣を抜く。
狼との距離はまだある。
「お、おい!キース!」
ファルが何か言っているが無視。
馬上の一人…男の方が目を見開いて驚いている。
向こうから見れば、俺が斬りかかっている様に見えてるのだろう。
気にしている余裕が無い俺は、馬の脇を走り抜けて背で庇うように立ち、剣を狼に向けて殺気を全開。
狼は4、5メートル程先で動きを止めた。
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