英雄の街 ステッドマン

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「いや、驚かせてすまなかった」 目の前のセージとリーナと名乗った二人に紅茶を差し出しながら苦笑いする。 「いや、こちらこそ。あれは誰が見ても勘違いすると思いますよ」 紅茶を受け取った、セージも苦笑いで返した。 あの後、オービィ(狼の名らしい)を警戒していた俺に馬を降りたのセージが、慌てて狼の説明をした。 「魔物と旅をしている奴何て初めて見たぜ」 俺の横に座るファルがセージの足元でとぐろを巻いて寝ているオービィに目をやった。 「偶然の出来事ですけどね」 まず、人間の言葉を理解し、忠誠を示す何て魔物がいることに驚いた。 それも2匹も… 話をしてみて悪い奴では無いと感じたが、職業柄、疑って掛からなければならない。 …ただでさえ最近は隣街である「ドライニア」の動きがきな臭い。 黒髪で黒い瞳の「人間」。 それに2匹の魔物を従えている。 これは一介の門兵が処遇を決めて良いような人物では無い。 剣を向けた謝罪という名目でステルドの寄宿の食堂に連行。 その際業務は他の門兵に引き継いだ。 「入るぞ」 短い言葉の後に、食堂の扉が開くと兵装した壮年の男性が入って来た。 「お疲れ様です!ロブス隊長!」 ファルが慌てて敬礼をする。 彼はロブス隊長。 ステルドの8部隊の一つ、ロブス隊の隊長だ。 隊長はセージを一瞥した後、此方を向いた。 「ご苦労、下がって良いぞ」 この言葉で、俺とファルは立ち上がり出口へ向かう。 「キース」 マジか。 「貴様は残れ」 …マジか。
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