英雄の街 ステッドマン

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「それは、尋問…ですか?」 「そうだ」 キースさんはオレの質問に躊躇なく答える。 「まず一つ、その髪と瞳は本物か?」 恐らく何処に行ってもこの質問はされるんだろうな。 「地毛ですし、本物の瞳です」 その後、何処から、何のためにこの街へ来たのか。 ゲイルとオービィに出会った時の事等、色々と聞かれた。 「ふん、嘘はついていないようだな」 キースさんの隣に座っていたロブスさんがオレに言う。 「だが、一つだけ聞きたいことがある」 「貴様はこの大陸…いや、この世界の人間では無いな?」 絶句。 オレは目を見開いてロブスさんを見た。 「どうしてそう思うんでしょうか?」 率直な感想を投げ掛ける。 正直、ロブスさんみたいなタイプは非現実的な事象を考えるとは思えなかった。 「『迷い子』と、この世界では言われている」 は? 「貴様のような存在をな」 …成る程。別にこの世界ではオレみたいな存在は、珍しい訳じゃ無いのか。 「そう頻繁に起こることでは無いが、稀に貴様の様に異なる世界から来たと証言する者がいるのだ」 いや、珍しいのは珍しいんだな。 「…そっちの女」 「…?」 ロブスさんが唐突にリーナに声をかけると、リーナは首を傾げる。 「貴様の言う育ての親の名は?」 さっきリグルって名前を言ったじゃないか? 「…リグル・エッジ」 リグルさんのフルネームを聞いたのは初めてだな。 と、そんな事を思っていたらロブスさんはその顔に笑みを浮かべた。 「成る程、やはりそうか」
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