初めてのお使い〓ドライニア潜入〓

3/28
前へ
/160ページ
次へ
「さて、話を戻そうか」 キースさんは笑みを無くすと、真面目な顔になる。 「オレ達に、空から侵入する手段は無いですよ」 「そりゃそうさ。それに上空は軍の警戒が厳しいはずだからね」 ますます無理に聞こえてくるが。 ステルドの上層部は、これも想定内でオレに無茶ぶりしたってことか。 「ま、実は民間の中に協力者が居てね。中に入れてくれる手筈にはなってるよ」 マジか。 …いや、これだけ規制が強くなれば、民衆からは不満が出るのか? 「取り敢えず、城壁の近くまで行こうか」 ここでゲイルから降りて、徒歩で向かう。 馬が侵入出来るような経路では無いと言うことなので、ゲイルにはステッドマンに帰って貰うことにした。 かなりごねていたが。 「あそこの通気孔がそうだよ」 キースさんの人差し指の先にあるのは、人が余裕で通れそうな大きさの通気孔だった。 「だいぶ高い位置にあるみたいですが…」 設置してある位置はかなり高い。 しかも鉄格子でカバーがしてある。 「まぁ、見てて…よっ」 キースさんが石を拾って、通気孔に投げると、通気孔のなかから人が出てきた。 「成る程」 中の人物は通気孔の鉄格子を外すと、ロープを垂らしてくれた。 「これで登れるんだけど、オービィはどうするんだい?」 確かにオービィにはロープは登れない。 「ワフゥ…」 溜め息の様な声を出したオービィは、その場から二歩程下がると勢いを付けて走り出すと、城壁を駆け上がると、あっという間に通気孔の中に入った。 「マジか」 「きゃっ!魔物?!」 あー、不味いな。 「誤解を招かないうちに俺たちも登ろうか」
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1075人が本棚に入れています
本棚に追加