初めてのお使い〓ドライニア潜入〓

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「何で軍の内情にそんなに詳しいんですか?」 更に浮かんだ疑問を聞き出すと、ネイトさんは言いよどんだ。 「え、いや、それは…」 何か不味い事でもあるのか、ネイトさんは視線が定まらなくなる。 確実に挙動不審だ。 「ふぅ…」 その様子を見たキースさんが、溜め息をつく。 「彼女はネイトレイク・ネル・ドライニア。この国のお姫様だよ」 「ちょっ…!キース?!」 キースさんがそう言うと、ネイトさんは慌てた声を出した。 「大丈夫だ、この人はセージ。色々事情があって、俺と一緒にドライニアに潜入するはめになった」 ネイトさんに事の顛末を説明しているキースさんを見て思った。 オレに対する話し方が少し違うのは、もしかしたらまだオレを完全に信用していないんじゃ無いのかもしれない。 「ふーん、そんな事が。あなた災難だったわね」 「それよりキースさん」 「それよりって何よ!」 オレの返事が気に食わなかったのか、ネイトさんは喚くが無視する。 「協力者って民間の人だって言いませんでしたか?」 そもそも、お姫様と対等に話す他国の兵士ってどうよ? 「あー、「元」お姫様って言った方が正しいのかな?」 「元?」 意味が分からず、ネイトさんを見る。 「はぁ…取り敢えず、私達が使ってる小屋に行きましょ。そこで説明するわ」
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