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そうだ、敵を無力にするのに何も殺す必要なんて無い。
キースさんも、致命的な傷を与えてはいるが、自分で手を下しては居ないようだ。
「オービィ!敵を殺すな!」
「ヴォン!」
指示を聞いたオービィは、返事を返すと、オレを守る必要が無いと思ったのか自由に動き出した。
「イヤアアァ!!」
「おらぁ!」
右方向、左方向から挟み撃ちにするように兵士が走って来る。
「光れ!」
声と共に右手が光り、敵への目眩ましに使う。
光系譜の魔力だけを垂れ流したので、殺傷能力は無い。
突然の発光により、兵士は咄嗟に目を手で覆った。
その隙に正宗を左腰に差し直し、紐で括り背中に背負っている祢々切丸の柄に手を掛ける。
背負ったままでは祢々切丸は長すぎて抜刀することができない。
ので、胴体を軸に祢々切丸を回転させて背中側から腹側に移動させる。
それから紐を外し、鯉口と鞘を紐で括り鞘がすっぽ抜けない様にする。
此処で目が慣れたのか、一人の兵士が立ち直り手に持った槍で突きを放ってきた。
「ちぇりゃっ!!」
中々早い突きだが、向上した身体能力で、突きをかわす。
その際頬を掠めたが気にしない。
「突劇」
本来なら刀と槍とじゃ間合いが違うが、祢々切丸は3メートルを越える代物だ。ハンデはない。
棒に見立てた祢々切丸を右手一本で突き出す。
「ぐわっ!」
冑に開いた視界を確保するための穴に、祢々切丸が入り込むと槍の兵士は声を出して倒れる。
倒れた所に、踵落としを頭に叩き込むと完全に槍の兵士は気絶した。
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