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槍の兵士が気絶したのを確認して、そのまま祢々切丸を後ろに薙ぐ。
「っ!」
少し離れた場所にメイスを振りかぶっていた兵士がいて、祢々切丸の切っ先(鞘で隠れてはいるが)がそいつの鼻先に突き付けられている。
「炎劇・球」
逆に長すぎる祢々切丸では、相手に近付くのは危険なため、メイスが届かない範囲から魔法を放つ。
ソフトバレーボール大の火炎がメイスの兵士を吹き飛ばした。
「ふぅ…」
息を整えて、周りを見ると粗方の兵士は地に伏して呻き声を上げている奴も居た。
オービィにも目立った傷は無い。
「ワフゥ…」
「良く言いつけを守ったな」
オービィの首元を撫でてやると、目を細めて気持ち良さそうにしていた。
それにしても、ゲイルにしろオービィにしろ、魔物の割には頭が良すぎる気がする。
「だ、大丈夫?キース、怪我無い?」
あちらではネイトがキースさんを必要以上に心配している。
「キースさん…」
さっき舌打ちされた身としては、何となく遠慮がちにキースさんに話し掛ける。
「はぁ…まさか本当に対人戦が初めてとは思わなかった」
溜め息を吐きつつ見てくる。
「でもまぁ、これで完全にセージがドライニアの密偵じゃ無いって分かったし、俺の勘は当たってたって事が確証した」
「勘?」
意味が飲み込めずに聞き返した。
「第一印象の「コイツは信用出来るな」っていう勘だ」
キースさんはそう言って笑い掛けてくれる。
「とにかく、増援が来ない内に此処を離れるぞ」
次はオレとネイトに言う。
あれ?そういやオレに対する言葉遣いが……
「そーだ、セージ」
「はい?」
此方に振り向く。
「オレの事はキースって呼んでくれ」
赤髪が風に揺れ、イケメンが際立つ。
……………ちっ
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