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所変わって、ドライニア城。
「フム、ネイトレイクは取り逃がしたか」
玉座に座る男が、膝ま付く男に威圧的な態度を取る。
「は、ははっ…姫の傍にはステッドマンのステルド兵らしき男が一人と、魔物に指示を出す男と銀色の狼型の魔物がおりました…」
その報告を聞いた玉座の男は、爬虫類の様に細い瞳を更に細める。
「ほぅ…ならば丁度よい。必ずネイトレイクとステルドの男は捕らえろ。ステッドマンが政治介入したのを理由にステッドマンに攻め混む!」
玉座の男が立ち上がり、深紅のマントを翻して指示を出す。
「逆族、ネイトレイク・ネル・ドライニアとステルド兵を捕らえろ!他の男と魔物は殺してよい!」
「は!」
威勢のよい返事を残して、配下の兵士達は王の間を出ていった。
「……魔物に指示を出す男に、理解する「銀狼」か」
男は玉座に座り直すと肘掛けに頬杖を付き、足を組む。
「その男が、黒髪、黒瞳ならば面白いのだかなぁ」
そのままの格好でほくそ笑む。
王の間に伸びる男の影が段々と形を変えて、ドラゴンの形になる。
「なぁ…ジャバオック」
ブロンドの髪の間から覗く紅い瞳には狂気が滲んでいた。
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