初めてのお使い〓ドライニア潜入〓

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「さて、ここまでは無事にこれたわけですが?」 例の掘っ建て小屋が目に入る所までやって来たが、思っていた通り小屋の周りにはドライニアの兵士が待ち構えていた。 「見付からずに通り抜けるのはムリだな」 キースは慌てることなく兵士の配置を見ているみたいだ。 「合計は20人、通気孔に続く一本道には槍を持っている兵士が2人と剣を持った兵士が3人の合計5人」 「そこまでたどり着く道にも、兵士…掘っ建て小屋の裏側から迂回するルートには6人、ここから真っ直ぐ表を突っ切るルートには残りの9人」 なるほど。 「敵は多いけど、最短の道を行くか、時間は掛かるけど遠回りするか、だな?」 キースは頷き、更に付け加える。 「まぁ、遠回りに移動しても、兵士に声を上げられたら9人の兵士が駆け付けるかもしれないし、直線でも9人の兵士に手こずれば、6人の兵士が駆け付けるかもしれない。」 「それに追われる様なことになってしまったら、ネイトが居る此方はかなり不利だ」 確かに、オレとキースとオービィだけなら敵に追われながらでも逃げれただろう。 しかし、ネイトはあくまで普通の女の子で、王女だ。 ってーか、 「結局、20人全員やるしかないって事だな?」 「理想はな。最悪、通気孔への道の5人は確実にやっておきたい」 キースが装飾も施されていないシンプルな剣を抜いた。 「とにかく、あの一本道まで到達すれば俺が何とかする」 キースに何か考えがあるみたいだが、最初の問題はあの一本道にたどり着けるかどうか。 「セージとオービィは、真っ直ぐ突っ切るルートを。俺とネイトは迂回するルートを通る」 オレとネイトが頷いたのを確認したキースは、ネイトを連れて駆け出した。 「行くぞ!オービィ!」 「ガゥ!」
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