初めてのお使い〓ドライニア潜入〓

18/28
前へ
/160ページ
次へ
息つく間も無く他の兵士が駆け付ける。 片手斧を持った大男と、その後に隠れるように位置取る小柄な兵士。 「ゴラァ!」 野太い声と共に凄まじい速さで斧を降り下ろして来た。 …これはちょっと止める自信は無いな。 相手の力が強すぎる。 そう判断してその場から後ろへ飛び退く。 さっきまで自分が立っていた位置に斧が深く突き刺さっているのを見てゾッとする。 「アクアランス!」 大男の後ろから声がしたと思うと、投げ槍で使うような2メートル程の槍が此方に向かって飛んできた。 「魔法かっ…!」 敵が武闘派ばかりだったから忘れていたが、この世界の住人は全員魔法が使えるんだった。 「炎劇・槍!」 此方も魔法を発動させて、相手より少し魔力を強く込めた炎の槍を水の槍にぶつけて相殺させる。 リグルさんとリーナとの訓練がここに来て役立ったな。 「なっ…!」 魔法を使った兵士は、オレの炎が自分の水を消した事に驚いているようだ。 「おぉら!」 突き刺さっていた斧を引き抜いた大男が再度斬りかかって来る。 「閃舞」 腰を落として、右手で鯉口を切ってその瞬間を待つ。 ここだ! 斧が降り下ろされる瞬間に右手が動く。 狙いは鉄で出来た刃ではなく木で出来ている柄。 「ふっ」 小さく息を吐いて正宗を鞘から抜いて振り抜く。 音もなく振られた正宗は何かに触れた感覚もなく、オレの肩の可動域限界まで移動。 正宗の刀身は赤く染まっている。 カラン、と地面に鉄が落ちる音がして、斧の刃の部分が落ちた。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1075人が本棚に入れています
本棚に追加