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大男が崩れ落ちた事に動揺したのか、後ろの魔法を使う兵士が闇雲に水の槍を放って来た。
「炎劇・壁!」
向かって来る槍が意外と多かったため、前方に炎の壁を発生させて蒸発を促す。
…この技の難点は炎のせいで前が見えない事だな。
「アクアランス!アクアボール!アクアエッジ!」
向こうもそれが分かっているのか、畳み掛けて魔法を放っているので、魔力を込め続けて壁を維持させるしかない。
「遠距離攻撃しようにも、位置が分からないと…」
壁以外にも蒸発した水が水蒸気になってしまい、霧のように立ち込めているため、ついぼやいてしまう。
「ガルァ!」
「うわっ!!!
オービィと男の声がしたかと思うと、壁を攻撃し続けていた魔法が止んだ。
壁を消して前を確認すると、オービィが魔法の兵士を組付して物凄い顔で唸っていた。
「グルルルルルゥ…!」
「ひぃ…!」
捕食者の表情のオービィにびびってしまったのか、魔法を使う兵士は失禁してしまった。
「あんな方法もあるのか」
オービィが行った「殺さない」は、圧倒的恐怖による「戦意喪失」。
今までオレがやってた、気絶による「戦闘不能」とは又違う方法だ。
……敵によってはオービィの方法が効率的な時もあるかもしれない。
「覚えておこう」
立ち上がる気力も感じなくなったのか、オービィは唸り声を止めてオレに駆け寄ってきた。
「凄いなオービィ…」
オレが考えもしなかった方法もそうだが、オレが3人気絶させている間にオービィは3人を気絶、或いは戦意喪失に追い込み、更にオレの手助けまでこなした。
「ガゥ」
普通だ。みたいな返事を返すして、オービィとオレは進行方向を見る。
残りの兵士2人は、武器を構えて遠巻きに位置していた。
オービィの戦いを見て警戒している様だ。
「く、クソッ!」
「コイツら化け物か!?」
…この感じならやれるか?
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